A1
: 十数年前に、北海道の酪農界にアニマルウエルフェアが一般化し始めたときには、「今までカウコンフォートで対応しようとしてきたではないか、
今更アニマルウエルフェアって言われても!?」や、「どちらも家畜の快適を願うことは同じだから、なんでアニマルウエルフェア?」などの声が聞かれました。
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A2
: 確かにウシは飼料を摂取するとメタンをガスとして排出します。
これはウシやヒツジなどの反芻草食動物が、我々人類やブタのような単胃動物では消化できない繊維成分を
多量に含んだ草類を消化吸収できる特性の大きな特徴でもあります。
ウシやヒツジなどの反芻草食動物は、複数の胃を持ち、その第1胃および第2胃に多量の微生物(プロトゾア、細菌類、真菌類)
を住まわせており、こうした微生物の力(発酵分解)により、普通の動物では消化吸収できない繊維成分を分解再合成して、
第4胃以下のヒトやブタと同じ消化器官で消化吸収できるようになっています。 |
A3
: 行政機関の認証制度としては、先日の講演の冒頭で紹介したように、山梨県がエシカル消費を意識して、
2021年の秋に家畜福祉の国内初認証制度を作っています(https://www.pref.yamanashi.jp/chikusan/documents/awninnsyouseidogaiyou.pdf)。 |
A4
: 残念ながら、「牛を快適に飼うことで、生産性が有意に向上する」といった学術的なデータは知りません。
ただし以前から、ウシを大事にしている農家、例えば飼養している乳牛の接近許容距離(人が接近したときに逃げない距離)が少ない個体が多い農家ほど、
生産成績が高いと言ったデータはあります。 |
A5
: 私も「欧米の基準をそのまま日本にも導入することは現実的に難しい」と思います。
ただし、それは規則や政策の問題ではなく、伝統的な動物観・自然観の違いが影響するかもしれないと思っています。 |